LOCAL Community Summit 2017 開催レポート

LCS, イベント情報, 活動報告

LCS2017

はじめに

2017年1月28日(土)、株式会社パソナ 東京本社 8階 セミナールームにて「LOCAL Community Summit 2017」(以下、LCS2017)が開催されました。

オープニング

菅井実行委員長

菅井実行委員長

菅井 祐太朗実行委員長の挨拶でLCS2017がスタートしました。
また、同時開催された #みんなの札幌移住計画2017 (以下、札幌移住計画) の松井 健太郎代表より、札幌移住計画のご紹介がありました。

セッション1 特別講演

伊勢氏

伊勢氏

さくらインターネット株式会社の伊勢 幸一さんが「エンジニアの地域格差打開のコツ」についてお話しされました。
比較的誰にでも実行でき、それなりに効果実績のあるパターンをご紹介いただきました。

講演の前半では、情報科学若手の会2016でも発表された「エンジニアが採用できない会社と評価されないエンジニア」についてお話しされていました。
エンジニアの採用ができない企業の特徴として、プロジェクトが決まってから人材募集や採用に着手する・聞いたことがあるエンジニアが社内にいないなどが挙げられていました。
評価されないエンジニアの特徴として、企業としてエンジニアをコストとして扱っている・自分だけがコストとして扱われることが挙げられていました。
また、社内で評価されるエンジニアになる方法として、社外で評価されることが一番の近道だとおっしゃっていました。

後半では地域(地方)エンジニアの格差打開のコツについてお話しされていました。
地域エンジニアの声として、会社も人もコミュニティも東京ばかり、参加者が少ない、ぼっち問題などがあり地方エンジニアは不利というのがありますが、逆に言えば、地方での競争はゆるい、誰でも主催者になれる、少数なので目立ちやすい、ネタになるといったことがあり、地方地域を活かした活動をすればよいとのことでした。
また、イベント開催などの運営費に困った際には支援団体も存在するのでそういったところを活用すれば良いとのことでした。

セッション2 首都圏で活躍する道産子エンジニアによるパネルディスカッション

左から 澤田さん(モデレータ)、大和田さん、村田さん、小野寺さん、高橋さん

このセッションでは、パネルリストとして、道産子エンジニアである、高橋 征義さん、大和田 純さん、村田 賢太さん、小野寺 大地さんを迎え、澤田 径さんにモデレータを務めていただき、パネルディスカッションをお届けしました。

お題は以下の3つでした。

  • リモートワークについて
  • 待遇(年収)
  • 札幌や北海道がもし◯◯だったら

最初のお題では、それぞれの方が所属する会社でリモートワークが認められているか、どのような形でリモートワークが行われているかお答えいただきました。お答えとして以下が挙がっていました。

  • 一応できるが、業務柄オンライン上でのディスカッションがつらい。多い人だと週2で在宅。
  • 基本的にやってもいい。機密情報を扱うような業務だとダメ。社内システムは出勤しないと使えない。
  • 東京本社と福岡支社があるので、オンラインでやりとりしている。拠点間という意味でのリモートワークはもう何年もやってきた。在宅勤務に関しては「顔をあわせていっしょにやるのが大事」といった文化からか、これまであまり積極的には進めてこなかった。

急に札幌などで長期間リモートワークをするというのは現状不可能に近いとのことでした。

次のお題では地方での待遇(年収)をテーマにディスカッションが行われました。
ホワイトカラーの平均年収を比較すると、東京に比べ北海道は100万円近く低いとのことでした。[1]

  • 家賃・物価等を加味するとトントンくらいになるのでは。
  • 条件が同じだとしても、すぐ北海道に帰るという選択はしない。
  • 仕事柄年収だけでなく、お客さんがその場所にいるかということを考えなければいけない。
  • 今よりも待遇が良ければ選択肢に入る。

などの意見が挙がっていました。

最後のお題では札幌や北海道に◯◯があるなら・◯◯だったらUIターンしようと思うのかという内容でディスカッションしていただきました。
事前に参加者から募集した意見として

  • 子供の教育機会が東京より劣らなければ
  • 妻の転職もできれば
  • 季節限定なら

などが挙がっていました。
パネリストの方々からは以下のような意見が挙がっていしました。

  • 札幌に支社ができれば。北海道の人材を札幌で採用できれば。
  • 雪がなければ。東京と同レベルの交通網があれば。
  • 妻の転職ができれば。職種によっては地方で同じ職種を続けることが難しい。
  • 一時的にでもいられるような制度があれば。家族の問題。

参加者・パネリストの共通の意見として家族の問題や気候の問題が挙がってました。
地方への移住となるとやはり自分だけでなく家族を巻き込んだ問題となるので一筋縄ではいかないようです。

セッション3 道産子 CTO Evening

左から佐藤さん(モデレータ)、増井さん、澤田さん、小賀さん

このセッションでは、パネリストに北海道出身で現在CTOなどを務める、増井 雄一郎さん、澤田 径さん、小賀 昌法さんを迎え、佐藤 佳祐さんにモデレータを務めていただき、パネルディスカッションをお届けしました。
お題はざっくり以下の2つでした。

  • コミュニティについて
  • 地方について

最初のお題では、各社・個人としてコミュニティにどう関わっているか答えていただきました。

  • 自分自身はコミュニティに帰属意識がない。社員は結構所属している。業務時間として換算。
  • 積極的に関わることを薦めている。OSSのコミッターを補助する。
  • 個人的にはないが、会社としては積極的に参加している。会議室を貸し出している。

各社ともにコミュニティへの参加を推進されているようでした。
会社としてコミュニティに協賛することは、短期的にはメリットはないが長期的に見ると、社員のモチベーションにつながったり、スポンサー発表枠を若手の発表の場として利用することで、本人が発表に向けて頑張ろうと思うようになったりと、社員・会社の成長につながるメリットがあるそうです。

次のお題では、(ザックリしていますが)地方ついてどう考えているかについてお答えいただきました。
以下のような意見が挙がっていました。

  • 人口が多い東京にすべてが集まってしまう。エンジニア同士ならオンラインでもコミュニケーションが取れるが、エンジニア以外とのコミュニケーションにはオフラインが必要。
  • 地方に人が増えていけばなと思っている。地方で仕事するなら国内でなくグローバルな仕事をやっていく。

さらに、ここから派生して、地方の人材の採用をどうしているかというところに話がいき、各社とも採用時点ではリモートワークについて考えていない。基本的には東京勤務で採用している。とのことでした。

地方の拠点についてどう考えているかという質問では、チーム丸ごと地方拠点を持つ(チーム全員が地方拠点へ・チームリーダが地方拠点でメンバーを集める)なら考えていいという意見がありました。

セッション2とは打って変わって、技術者というだけでなく会社を経営・運営する立場としてのディスカッションが多かったのが印象的でした。

セッション4 北海道コミュニティと一般社団法人LOCALのご紹介

LOCAL 小岩理事

LOCAL 小岩理事

このセッションでは、本イベントを主催する一般社団法人LOCALの小岩秀和理事より、北海道コミュニティと一般社団法人LOCALの紹介がありました。

前半では札幌以外の北海道でのITの紹介がありました。
ドローンを使った調査や牛にセンサを付けてアプリなどで管理をするといった事例が紹介され、地方のIT化も徐々に進んでいるようでした。

後半ではLOCALの活動と北海道のITコミュニティの紹介がありました。
LOCALの大きなミッションとして技術者文化の醸成があり、さまざまなコミュニティのメタコミュニティとして運営・支援に関わり、遠隔地の学生への交通費支援を行っています。
他にも、

などの開催・運営を行っています。

また、北海道発で16歳以下限定のプログラミングコンテストである、U-16プログラミングコンテストが紹介されました。
競技部門と作品部門があり、競技部門ではCHaserと呼ばれる対戦型ゲームのAIプログラムを作成します。
これまで、旭川、釧路、帯広で開催されています。

他にも北海道で活動しているコミュニティが多数存在し、LOCALのウェブサイトにて紹介しています。
http://www.local.or.jp/about/community
また、この日に配布した、「北海道ITコミュニティ・ITイベントガイド Jan. 2017」も PDFファイルで用意しています。

おわりに

その後の懇親会では、札幌移住計画と合同で行われ、ザンギやちゃんちゃん焼き、ジンギスカンなどの北海道料理や北海道の地酒、ワインなどが振る舞われました。
以上、今回のLOCAL Community Summit 2017の開催レポートでした。

レポーター:坂井 信之



[1] ソース https://doda.jp/guide/heikin/area/
※2015年9月~2016年8月の1年間に、DODAエージェントサービスに登録した約27万人のデータを元に、正社員として就業している20~59歳までのビジネスパーソンの平均年収を調べたもの